【運動誘発性喘息】

気管支喘息は、気道(空気の通り道)に炎症が生じ、気道が狭くなって空気が通りにくくなり、息切れ、咳、痰、喘鳴などの症状が出る病気です。炎症が生じた気道は敏感になっていて、正常な気道なら何ともないホコリやストレス等のわずかな刺激でも気道が狭くなり、発作が起きます

 

日常の生活では喘息症状を生じないが、運動時にのみ喘息症状が出ること運動誘発性喘息と呼びます。運動誘発性喘息では、運動開始数分後から息切れや咳などの喘息症状を生じ、運動中止数時間以内に改善します。喘息症状が目立たず、自分では気付かないうちにパフォーマンスが低下している場合もあります。

 

運動誘発性喘息は、冷たく乾燥した空気を繰り返し吸うような競技・トレーニングで起こりやすいため、陸上・サッカー・スキー競技などのアスリートで多く見られます。

 

診断は、運動負荷呼吸機能検査を行います。まず安静時に呼吸機能検査を行い、5分間の運動をした後、再び呼吸機能検査を行います。

 

喘息では、息を吐く時に気道が狭くなり、スムーズに吐けなくなります。呼吸機能検査では、息を最大限吸った状態から最初の1秒間で吐くことが出来る空気の量を測定します。これを『1秒量と言い、喘息では1秒量が低下します。

安静時から運動負荷後にかけて1秒量が10%以上低下していれば、運動誘発性喘息と診断します。

運動誘発性喘息の予防としては、気温や湿度が低い場所での運動を避けることマスクをすること、十分なウォーミングアップ等が挙げられます。

 

治療は、運動開始5~15分前に気道を広げる作用のある薬を吸入することです。

治療を開始した日から効果があります。

 

※運動誘発性喘息の診断には、『運動負荷』呼吸機能検査を行う必要があります。しかし医療機関によっては、『運動負荷』呼吸機能検査が出来ないこともありますので、予め確認されることをお勧めします(もちろん、大久保病院・京都九条病院では運動負荷呼吸機能検査が随時可能です)。

【実際の症例】

≪冬場の練習中の息切れを主訴に受診した女子サッカー選手≫

24歳、女性、サッカー選手。冬になると、練習途中から息切れしてパフォーマンスが低下することを主訴に受診。問診では、小児期にアトピー性皮膚炎の既往があること、毎年、花粉症になること、急に冷たい空気を吸うと咳き込みやすいことなどがわかった。以上から、アレルギー素因があることは間違いないと判断した。

冬場の寒い時期のパフォーマンス低下やアレルギー素因などから、運動誘発性喘息の可能性が高いと考え、運動負荷肺機能検査を行った結果、運動前後で1秒率が18%低下しており、運動誘発性喘息の診断に至った。他のスポーツ内科疾患を鑑別するため、血液検査・尿検査・胸部レントゲン検査・心電図検査を行ったが、特に異常は認めなかった。

治療として運動前の短時間作用型β2刺激薬吸入を開始すると、間もなく練習中の息切れは消失した。現在も吸入を継続しながら、競技を続けている。